この記事の図解

10分を習慣にする小さな循環

短く動き、体調を確かめ、無理なく次へつなげます。

  1. 足す

    いつもの移動や家事に数分追加

  2. 分ける

    朝・昼・夕に小分けでも大丈夫

  3. 振り返る

    体重より体調と続けやすさを見る

10分は、まとめて行わなくてもよい

10分は、まとめて行わなくてもよいのイメージ

忙しい日に連続した時間を確保するのは簡単ではありません。一回10分が難しければ、朝に三分、昼に三分、夕方に四分と分けても構いません。厚生労働省の身体活動・運動ガイドでは、個人差を踏まえ、可能なものから取り組み、今より少しでも多く体を動かすことが勧められています。長時間座り続けることを避け、こまめに体を動かす視点も大切です。

身体活動には、スポーツだけでなく、通勤、買い物、家事、仕事中の移動なども含まれます。「運動できなかった」と考える前に、その日に歩いたこと、階段を使ったこと、掃除をしたことを数えてみましょう。すでにある動きを認めると、自分に合う増やし方が見つかります。

始めやすいのは「いつもの行動に足す」方法

始めやすいのは「いつもの行動に足す」方法のイメージ

新しい予定を増やすより、毎日の行動と結びつける方が続きやすくなります。歯磨きの後にかかとの上げ下げをする。テレビの広告中に立ち上がる。買い物では入口から少し遠い場所を歩く。エレベーターを一階分だけ階段にする。電話中にその場で足踏みをする。どれも小さな動きですが、繰り返せば合計時間を増やせます。

最初から汗をかく強さを目指す必要はありません。会話ができ、呼吸が少し弾む程度を一つの目安にし、その日の体調に合わせます。歩くときは、背筋を無理に反らさず、足元が安全な場所を選び、歩きやすい靴を使いましょう。暑さや寒さが厳しい日は、屋内の廊下や商業施設を利用する方法もあります。

  • 座る時間が長い日は、30分ごとを目安に一度立つ
  • 往復のどちらかだけ、少し遠回りして歩く
  • 家事の合間に、椅子からゆっくり立って座る
  • 家族や仲間と話しながら短い散歩をする

筋力を保つ動きも、週の中に少しずつ

筋力を保つ動きも、週の中に少しずつのイメージ

歩くことに加え、筋肉へ負荷をかける運動も健康づくりに役立ちます。椅子からの立ち座り、壁に手をついた腕立て、かかとの上げ下げなど、自宅でできる動きから始められます。反動をつけず、呼吸を止めないことを意識してください。痛みのない範囲で数回から始め、翌日の疲れ方を見ながら調整します。

同じ動きを毎日強く行う必要はありません。厚生労働省のガイドでは、成人の筋力トレーニングは週二、三日が推奨されていますが、年齢や体力、病気の状態によって適切な量は異なります。回数の達成より、正しい姿勢で無理なく続けられることを優先しましょう。

体力ではなく、生活に合う目標をつくる

体力ではなく、生活に合う目標をつくるのイメージ

「一日一万歩」のような数字が励みになる人もいれば、できない数字を見るとやる気を失う人もいます。目標は他人と比べず、今の自分を基準にします。まず三日間だけ普段の歩数や活動を確認し、その平均に五百歩足す、夕食後に五分歩くなど、達成できそうな行動へ落とし込みましょう。

記録は、できた日に丸を付けるだけで十分です。続かなかったときは意思の弱さではなく、時間帯、天候、服装、目標の大きさを見直します。雨の日の代替案を決める、玄関に靴を出しておく、家族と約束するなど、動きやすい環境をつくることが習慣化につながります。

座りっぱなしを減らすことも立派な身体活動

座りっぱなしを減らすことも立派な身体活動のイメージ

デスクワークやテレビ視聴などで座る時間が長い方は、運動時間だけでなく、座り続ける時間を区切ることを意識します。電話をするときに立つ、飲み物を取りに行く、会議の前後に少し歩くなど、短い中断をつくりましょう。立つことが難しい方は、座ったまま足首を動かす、姿勢を変えるなど、できる範囲から始めます。

活動量計やスマートフォンの通知は、立ち上がるきっかけになりますが、数字に追われてストレスになる場合は使わなくても構いません。仕事の区切りやテレビ番組の終了など、生活の合図と結びつける方法もあります。長い一回の運動だけで一日の座りすぎを帳消しにしようとせず、こまめに動く時間を散りばめます。

持病や痛みがあるときこそ、内容を個別に考える

持病や痛みがあるときこそ、内容を個別に考えるのイメージ

高血圧、心臓病、糖尿病、呼吸器の病気などで治療中の方は、運動が役立つことがある一方、病状や薬によって安全な強さが変わります。血圧や脈拍に影響する薬、低血糖を起こす可能性のある薬を使っている場合もあります。運動を始める時刻、食事との間隔、体調不良時の中止基準を主治医へ確認しましょう。

膝や腰が痛い方は、痛みを我慢して歩数を増やす必要はありません。水中運動、椅子を使った運動、上半身の動きなど、負担の少ない方法を専門家と探します。転倒が心配な方は、手すりや安定した椅子を使い、一人で無理をしないでください。安全に続けられることが、最も大切な条件です。

人とのつながりを、続ける力にする

人とのつながりを、続ける力にするのイメージ

一人では続きにくい方は、家族との散歩、地域の体操、友人との買い物など、人と会う予定に体を動かす機会を組み込みます。会話や楽しみがあると、運動だけを目的にするより続けやすくなることがあります。競争が負担になる場合は、歩数を比べず「今日も外へ出られた」と共有するだけにしましょう。

周囲は無理に勧めず、本人が大切にしたいことを聞きます。自分で選んだ小さな行動が、長い習慣になります。

変化は体重だけで評価しない

変化は体重だけで評価しないのイメージ

運動を始めても、体重がすぐに減らないことは珍しくありません。階段で息が切れにくくなった、外出後の疲れが軽くなった、気分転換になった、よく眠れたなど、暮らしの中の変化も記録しましょう。体重だけを成功の基準にすると、良い変化を見落としてしまいます。

一か月ごとに「続けられた行動」と「体調」を振り返り、目標が負担なら小さくします。長く続く行動こそ、自分の健康を支える力になります。

安全に動くための確認

安全に動くための確認のイメージ

体調が悪い日、発熱している日、睡眠不足が強い日は無理をしません。運動前後には水分を取り、気温や湿度に合わせて時間帯を選びます。急に強い運動を始めず、準備運動と整理運動を取り入れましょう。持病がある方、治療中の方、長く運動していなかった方は、どの程度から始めるべきか主治医へ確認すると安心です。

運動中に胸の痛み、強い息切れ、めまい、冷や汗、動悸、いつもと違う強い痛みが出た場合は中止してください。症状が強い、休んでも改善しない場合は速やかに医療機関へ相談します。関節や腰の痛みが続く場合も、我慢して運動量を増やさず、原因を確認しましょう。

今日の10分を、自分らしい健康へつなげる

今日の10分を、自分らしい健康へつなげるのイメージ

運動の目的は、数字を達成することだけではありません。買い物へ自分で行く、好きな場所を歩く、家族と出かけるといった、自分が大切にしたい暮らしを続けるための土台です。体重がすぐ変わらなくても、気分、睡眠、体力、疲れにくさなどに目を向けてください。

今日できることを一つ選ぶなら、この記事を読み終えた後に立ち上がり、室内を数分歩いてみましょう。できたことを出発点に、明日はどこへ少し足せるかを考えます。当薬局では、健診結果、服用中の薬、関節の状態、生活時間を伺いながら、無理のない活動計画を一緒につくります。

参考資料
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